引き続き北京オリンピックの話題。
フィギュアスケートの羽生結弦選手、三連覇が期待されていましたが、残念ながら4位でした。
大逆転を期待したフリーでは、最初のクアッドアクセルで着地失敗。しかし、着地に失敗した姿も含めて、とてもとてもかっこよかった。競技ではなく、1つの「作品」を見るような感動。人々が口にする「次元が違う」という言葉が、まさにぴったり。あの素晴らしい演技を採点する基準は、残念ながら現在、存在しない。
ネイサン・チェンが金メダルに輝いたことに異論を唱える気はまったくない。彼は見事に跳び、見事に回転した。素晴らしかった。まさに金メダルに値する。
でも、今回最も感動したのは誰?と、問われれば、やはり羽生結弦選手だと答える。もうメダルの色だの表彰台だの、そんなことはどうでもいい。
そういえば、2014年ソチ五輪の浅田真央選手のフリーも、同様にとても感動した。メダルなんて、どうだっていいじゃん、心から感じた。
競技後のインタビューで羽生選手が「努力って報われないんだな、と思った」と口にした。
あれだけ努力を重ねた人が報われないなら、私の努力など永久に報われるはずがない。いや、そもそも、私のは「努力」といえるのだろうか?なんだか、恥ずかしい気持ちになった。
これまで、金メダルをとっても、まだ満足していない口ぶりだった羽生選手が、今回は「全部出し切った」「これが僕のすべて」というようなことを言っているのを聞いて、もしかしたら引退してしまうのではないかと、ちょっと心配。
もう少しで完成しそうなクアッドアクセル。あとちょっとだけ頑張って成功させて欲しい。と思ったけど、おそらく彼はすでに満身創痍だろうし、無責任な他人(私を含め)の勝手な夢を押しつけられて、まだ続けるのは苦痛でしかないかもしれない。
どちらにしろ、本人の決断を尊重しましょう。どちらにしろ、圧倒的に感動的なフリーでした。
今週の「ありがとう」は、羽生結弦選手に。
かつてジャン・コクトーが、映画とは数多くの人々を一堂に集めて同じ夢に酔わせるもの、というようなことを言った。まさに、羽生選手のフリーは極上の映画だった。あのとき、多くの観客と視聴者は、同じ夢に酔ったはず。
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